生産者インタビュー

生産者インタビュー 04 京都府宇治市 吉田利一さん

生産者インタビュー 04
京都府宇治市 吉田利一さん2018/02/02

King of Green RIICHI

丸利吉田銘茶園16代目吉田利一氏の
名前を冠したプレミアムボトリングティー。詳細を見る >

本簾(ほんず)覆い下栽培を今も継承されているのですね。

葦(よし)を編み、竹と丸太でやぐらを組む昔と同じやり方です。

覆い下栽培とは玉露や碾茶の生育方法で、新芽の成長期に遮光して葉に旨み成分を蓄えます。現在よく使われている黒い覆い(寒冷紗)を開発するまでは、毎年すべての玉露茶園に葦を編んだ簾とわらを被せていましたが、今は伝統を継承するために一部の茶園にだけこの方法を残しています。

でも、茶摘みの時期になったら乗せていたわらを土の上に落として土壌づくりをする、という部分は今も取り入れているんですよ。農業は土が命。肥培管理は徹底しています。
うちの茶園はほとんど手摘みで一番茶のみ。全国的に見て宇治茶の生産量がわずか3%と少ないのは、安心・安全で良質なお茶というブランドを守っているからです。

全国有数の吉田銘茶園16代目の重責を担ってこられました。

おじいさんから教えられたこと。それはもう身に染みています。

私の親父が若くして不慮の事故で亡くなってしまったので、会社の経営から品評会への出品、各種団体の役員までを突然受け継ぐことになりました。30歳の時です。とまどいましたが、まずは家を大事にしなければ良いものを作れない、という思いで家族と一緒に無我夢中でやってきました。

第一回全国茶品評会で農林水産大臣賞を受賞したうちのおじいさんは、絶えず茶園を見回り、草1本、蜘蛛の巣ひとつないほどに茶園を大切にする人でした。その姿を見ていたので、教えは身に付いていたと思います。

吉田さんのお茶づくりにおける信念とは何でしょうか?

“煎のきく”お茶。何回も楽しんでもらえるお茶です。

「ペットボトルのお茶はのどを潤す、急須で淹れたお茶は心を潤す」と、私はよく言っています。うちでは、毎朝8時に息子が仕事をしに茶園に来たら、まずはみんなでお茶を飲むのが習慣です。

その時に飲むお茶は、玉露のかりがね。お客さんが来られた時にも、亭主がその場でお茶を淹れてもてなします。使い捨てではないお茶の文化というものを、宇治の郷から伝えていきたいと思っています。

「玉露は高級で自分で買うものではない」と思われているかもしれませんが、一度淹れたら4煎、5煎と楽しめますから、実はそんなに高いものでもないですよ。

おいしく淹れるコツは、とにかく茶葉を多めに入れること。葉っぱを多めにしてお湯を少な目にすれば、誰でもうまく淹れられます。口の中でふわーっと広がる香りを楽しみながら、ゆっくり味わってほしいですね。

生産者インタビュー 03 京都府久御山町 藤井啓さん

生産者インタビュー 03
京都府久御山町 藤井啓さん2018/02/02

京都宇治碾茶The Uji

最高級手摘み碾茶をじっくり抽出し、
旨みをとじこめたボトリングティー。詳細を見る >

藤井さんの碾茶(てんちゃ)はどこで作られているのですか?

木津川河川敷です。昔から高級宇治茶の産地なんですよ。

うちは茶業を始めて私で7代目ですが、今は抹茶の原料である碾茶だけを作っています。

新芽の成長期に被せる覆い(寒冷紗)は二重にして遮光率を高め、35日間じっくり旨み成分を葉に蓄えて、収穫時は折り摘みという方法で芽を傷めないように手摘み。年1回、だいたい5月の1カ月の間、30人くらいのお茶摘みさんに来てもらって収穫をします。出荷するのは、丁寧に手摘みしたこの茶葉で作る一番茶だけです。

抹茶に比べて、碾茶は一般的にあまり知られていないですよね。

碾茶を飲んだことがあるのは、ほとんど農家だけじゃないかな。

碾茶は石臼で挽いて抹茶にするために作られているので、葉っぱの状態ではほとんど一般に流通していません。でも、そのおいしさを知っている農家では、実はよく飲んでいます。

製造工程の中で、碾茶はレンガづくりの炉に入れて高温で乾燥させるので、香ばしさがあるんです。特に水出しがね、うまいんですよ。

そこでできたのが、このボトルティー「TheUji」なんですね。

手摘み碾茶を知ってもらうには「これや!」と思いました。

ボトルティーというものがあると知り、JAの畑中さん(写真左)に伝えたんですよ。そしたら、彼がロイヤルブルーティー(製造会社)に、商品化を直談判しに行ってくれて。

畑中さん:農家さんが来客用に碾茶を出されていて、私もそのおいしさを知っていたのでなんとか商品化できないかと思っていました。高級で淹れ方が難しい茶葉なので、なかなか販売に至らなかったのですが、ボトルティーのことを聞き、これしかない!と。思わず1人でアポを取って売り込みに行きました。

結局実現までに3年かかりましたが、できあがってからは順調に売れています!高級抹茶だけにとどまらない、手摘み碾茶の楽しみ方を広げていきたいですね。

藤井さん:抹茶に使うのは葉の部分だけですが、選別した時に出る茎の部分がまたうまいんですよ。甘み、渋みが茎の方にもあって。“碾茶の茎茶”もまた、畑中さんが商品化してくれると思いますので、皆さん楽しみにしていてください!

生産者インタビュー 02 京都府宇治田原町 奥田善浩さん

生産者インタビュー 02
京都府宇治田原町 奥田善浩さん2018/01/30

宇治玉露

京都山城地域の農家さんが手がける
日本茶の最高級品です。 詳細を見る >

奥田さんは玉露だけにこだわって作られているのですね。

生産から製造まで、1つ一つの工程に手間をかけて作っています。

京都山城地域は、昔から少量生産のお茶どころ。茶葉を生産するだけでなく、製造まで一貫して手がける農家が多いです。

うちは400年くらい前から続く茶農家で、今は玉露一本で勝負しています。昔と違って手摘みではなく機械化はしたものの、私の目が行き届く範囲で丁寧に作るという方針は変わりません。やっぱり手間をかけないと、ええもんはできないしね。

高級玉露を作る上でポイントとなるのは?

製造技術です。良い原料をいかに良いお茶に仕上げるか。

玉露の収穫は1年に1度きり。私はお茶を作り始めて30年近くになりますが、回数にしたらまだ30回しか作っていないことになります。日々勉強ですよ。もちろん積み重ねてきたノウハウはあるので、良い原料が生産できたとしても、それを良い玉露にできるかどうかがなかなか難しい。マニュアル化ができないんですね。

収穫した後、蒸す工程が一番の決め手。生葉の状態を見て、温度や時間を調整します。他にも専門的な技術はたくさんありますが、玉露の葉っぱは、水分をたくさん含みとても薄くやわらかいので、最初から最後まで丁寧に製造しないといけません。

奥田さんの玉露は甘いだけじゃなくコクがありますね。

味に厚みや奥行きがあると言っていただけます。

玉露は、茶畑に寒冷紗(かんれいしゃ)という黒い覆いをして光を遮り、茶葉に旨み成分を増やすのですが、うちでは収穫までの30日間じっくり被せて旨みを蓄えます。 まろやかな味わいは、まるでダシや海苔のよう、と言われる方もおられますね。 それでいて、香りはさわやかなので、後味はスッキリしています。

「宇治玉露」は全国に知られる高級ブランド。その名に恥じないようなお茶作りをしていきたいですね。

生産者インタビュー 01 京都府和束町 田中清和さん(右)・洋平さん(左)

生産者インタビュー 01
京都府和束町 田中清和さん(右)・洋平さん(左)2018/01/30

プレミアム宇治煎茶

田中さん親子の最高級茶葉だけを厳選した
「宇治茶ナビ」のオリジナル商品。 詳細を見る >

生産者さんを限定したシングルオリジンのお茶は珍しいですね。

「自分のお茶」を飲んでもらえると思うとうれしいです。

清和さん:うちは市場に出荷しているので、消費者の方々に直接届けられる機会はなかなかありません。だから今回、うちの茶葉に特化した「プレミアム宇治煎茶」ができたことはありがたいですね。ますますがんばらなあかんなと思います。

今は抹茶ブームで、煎茶だけを作っている農家が減ってきています。でも、昔から煎茶地帯である和束(わづか)としては、先祖から受け継いできた味を守っていきたいと思っています。

ずばり、田中さんのお茶とはどんなお茶ですか?

茶葉の旨みを凝縮させ、ツヤが残るお茶。

清和さん:養分・水分がたっぷり含まれた若葉の色や香りを活かしながら、煎茶の製造工程である「蒸し」と「揉み」をおこないます。出来上がりにツヤが残るお茶、というのが私の信念。手で感触を確認しながら、手揉みに近い製造方法で、通常の2倍以上の時間をかけて仕上げています。

洋平さん:僕は、毎年もっとおいしいお茶を作ろうと思って積み重ねている感じですね。肥料を自分で配合したり、新芽が出始める時期には霜に当てないようにしたりと、毎日手をかけています。でも、5月の収穫時期にならないと今年の出来ばえはわかりません。だからこそ、市場で評価をもらえた時は「よっしゃ!」と思いますね。

最後に、煎茶の楽しみ方を教えてください!

お湯の温度と量に少し気を付けるだけでグンとおいしくなりますよ。

清和さん:まず一煎目は、お湯を70~80℃に冷ますことと、お湯を少なめに注ぐことがポイント。急須に入れた茶葉が浸るくらいで止めて、蓋をして少し待ちます。そうすると、葉がゆっくりと開いてくるんです。いい頃合いで、少しだけ湯呑みに淹れてじっくり味わってみてください。二煎目は少しお湯の温度を上げて、量も増やしていく。こうすることで、三、四煎目まで風味を損なわずに楽しめるんですよ。


色々と試して、自分の好きな味を見つけてもらえたらと思います。

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